那須でつくる。
手でつくる。
一つひとつに愛情こめて。
製造部/那須ファクトリー所属
岩本 友里 さん
製造部/那須ファクトリー所属
岩本 友里 さん
あたらしい朝が始まる。
那須の朝は、とてもすがすがしい。すこし冷たく乾いた空気が、山々の輪郭を際立たせ、この街の自然の豊かさを実感させてくれる。ゆるやかに街を目指して降りてくる稜線は、やがて緑あざやかな牧草地へと変わる。そのちょうど境い目あたりに、御用邸チーズケーキの製造から箱詰めまでを行う「那須ファクトリー」がある。チーズガーデンを支える、会社の要だ。
更衣室で白衣に着替え、マスクとキャップを着用。クリーナーでホコリをていねいにふき取り、手洗い場へ。手のひらから手の甲、指の間、爪先、手首まで、くまなくしっかり手洗いしたら、鏡に向き合い、自分にほほ笑みかける。
「今日も一日、楽しく仕事をしよう!」
入社5年目、製造部の岩本友里さんの一日は、そんなふうにして始まる。
たべる人から、つくる人へ。
「私はもともと、御用邸チーズケーキの大ファンだったんです」という岩本さん。「初めて食べたのは、高校生になってから。友人のすすめがきっかけでした。子どものころからチーズケーキが好きで、それなりにたくさん食べてきたのですが、御用邸チーズケーキは特別。こんなに美味しいものがあるんだと、衝撃でした」
食べることに加え、お菓子をつくるのも好き。高校卒業後は、なんとなくその方面に就職できたらと考えていた彼女のもとに、ある日、思いもよらぬ知らせが届く。「高校の先生も、私が御用邸チーズケーキファンであることを知っていてくれて。おい、あのケーキの会社から求人票が来てるぞ、って(笑)」。募集部門は、製造。「(同部門は)製菓学校とか、専門的な勉強をしないと入れない」と思っていた彼女にとって、夢のような話だった。
「本当にうれしかったですね。入社後の研修で初めて那須ファクトリーに入ったときの感動を、今でもはっきり覚えています」
ケーキの生地作りから梱包まで、すべての工程が人の手を介していること。美しい焼き色ができるよう、オーブンでは数段階の温度調整が行われていること。そのうえで、お客様にベストな状態のケーキを届けるため、焼き色にも厳しい基準が設けられていること…そのこだわりのすべてが驚きだった。
「正直言って、最初は苦労の連続でした。製菓の専門学校を卒業した同期に比べ、知識も圧倒的に劣っている。焼き方はみんな同じはずなのに、私が焼いたケーキだけ焦げてしまう…。とにかく悔しくて、先輩の作業の様子を穴が開くほど見つめたり、質問攻めにしたり、必死に勉強しました」
手掛けたケーキが、商品として安定して出荷できるようになったのは、入社2年目のこと。仕事に少しは自信が持てるようになったという。
ファクトリーには、
職人のこだわりがつまっている。
那須ファクトリー内は、すみずみまで掃除が行き届き、常に清潔な状態に保たれている。装飾らしい装飾は一切ないけれど、そのぶんチーズケーキの焼き色が鮮やかで、まるで黄色く発光しているように目を引く。
数種類のチーズをブレンドし練り上げた生地を、鉄板の上のトレーに落とす。壁面には、一度に72個のケーキが焼ける窯が立ち並ぶ。焼き具合は、人の手と目で確認。数分おきに鉄板を回転させ、窯の手前と奥とを入れ替えつつ、ケーキが膨らみすぎないよう、空気だまりができていないかもチェック。焼き色にムラがないよう、温度を変えながら、約1時間かけて、じっくり焼き上げる。そうして、厳しい社内基準をパスしたケーキが商品として出荷されてゆく。
ケーキ作りには、時間の感覚も大切。工程から工程へ、次々とケーキが軽やかににリレーされてゆく。人の動きもとてもリズミカル。私服姿はどこかおっとりした印象のある岩本さんも、現場では鋭いまなざし。まさに「職人」と呼ぶのがふさわしい。そういえば、みんなケーキをよく見ている。いや、見つめているというべきか。
那須から全国へ。
私たちの
愛情を届けたい。
「やっぱりケーキを食べて『おいしい』と言っていただけるのが、私たちにとって最高の褒め言葉です。いつもベストな状態のケーキを食べていただけるよう、私たちは思いを込めてケーキを焼いています。だからみんな、小さな変化も見逃さないよう、じっくり見つめているんだと思います」
岩本さんが那須ファクトリーに入る前に笑顔を確認するのも、そんな心境からだという。
「楽しい気持ちで焼いたほうが、きっとケーキもおいしくなるはず。ときどき、ケーキに自分の子どもかと思うくらい愛情を感じる時があるんです。親バカですね(笑)」
5年目になり、多少心のゆとりが出てきたという岩本さん。「社内の勉強会に参加し、周囲の人の働きやすさを意識するようになりました。これまでは、自分のことで精いっぱいだったので。まずは、挨拶をきちんとすることから始めています。大きな声であいさつの行き交う職場は気持ちいいですよね」
気分転換はドライブ。四季の表情が豊かな那須の自然が大好きなのだという。「特にりんどう大橋から見える風景は絶品。あらためて、那須で働いていてよかったと感じます。那須にはお店も多くあり、仕事帰りや休日に、同僚と食事や遊びに行くこともよくあります」
今後の目標は、自身のような御用邸チーズケーキのファンを増やすこと、そして、御用邸チーズケーキを“日本一のチーズケーキ”にすることだ。
「私たちが愛情込めて育てたケーキを、一人でも多くの方に味わっていただきたいです。そのために、製造部一丸となって頑張っていきたいですね」
「庫やのことが気になる!」という方へ
那須ファクトリーは、先輩方が楽しく明るい雰囲気を作ってくれて、とても働きやすい職場です。
これまであまり那須に縁がないという方でも、私たちがご案内します(笑)。
私たちと一緒に、たくさんの笑顔を生み出していきましょう!